テーマ

G.自然・環境を学ぶ

制度種別

単位互換

受講形態(京カレッジ)

科目コード

G206

科目名

自然人類学I

開講大学名

京都大学

学内科目コード

G103

学内科目名

自然人類学I

連絡先

京都大学吉田キャンパス 吉田南構内
国際高等教育院棟1階 全学共通科目学生窓口
TEL:075-753-6511

担当教員

理学研究科 准教授 中村 美知夫

開講期間

2024年4月10日(水)~7月10日(水)
2講時 10時30分~12時00分(毎週水曜日)
※休講等による振替授業可能日:7月17日(水)
※試験期間:7月23日(火)~7月29日(月)
※フィードバック期間:7月30日(火)~8月5日(月)

開講曜日・講時

水・2

単位数

2

開講期

前期・春学期

授業形態

対面授業(オンキャンパス)

遠隔授業として実施する

実施しない

「英語で学ぶ科目」として実施する

実施しない

受講料
(単位互換履修生は不要)

対象年次

主として1・2回生

授業定員

単位互換定員

10

京カレッジ定員

会場

吉田キャンパス

試験・評価方法

定期試験(筆記)で評価します。この評価は絶対評価(素点)で行います。

超過時の選考方法

別途負担費用

その他特記事項

【授業教室】
京都大学吉田キャンパス・吉田南構内総合館北棟3階 共北37

プリント等の配布はしません。自分なりに要点をまとめながらメモをとる訓練をしましょう。写真や動画などの映像資料も極力使用して、フィールド観察から得られた結果であることを体感してもらえるようにします。

【授業外学修(予習・復習)等】
自分なりにノートを整理するなどして、授業中に分からなかった点をクリアにしておくとよいでしょう。

【履修要件】
自然人類学IIもぜひ受講してください。
高校での「生物」の履修は不要です。
授業中必要になる知識については、授業内で適宜補足します。

低回生受講推奨科目

講義概要・到達目標

【授業の概要・目的】
「私はいったい何者なのか?」
「人間とは、人間性とは何なのか?」
誰もが一度は問うたことがあるのではないでしょうか。

自然人類学は、人間もまた一つの生物種(ヒト)であると捉えることでこの問
いにアプローチする学問です。その際に重要な視点の一つが、ヒトをヒトに近
縁な他の生物種と比較してみることです。前期開講の「自然人類学I」では、フ
ィールドワークを通して分かってきた現生の野生霊長類の社会や生態、行動に
関するさまざまな知見を紹介しつつ、上記の問題について考えます。

人間について知ろうとする学問の多くは、しばしば人間の特殊性を強調することが多いですが、本講義ではできる限りヒトを相対化し、他の霊長類や動物と比較することを通じて人間を知ることに繋げたいと思います。

【到達目標】
霊長類の社会・生態・行動などに関する基礎的な知見を身につけるとともに、自分自身が属する種(ヒト)をその中に位置付けるという考え方を養う。

講義スケジュール

第1回 イントロ:自然における「人間」の位置
ヒトはしばしば「人間と動物」という区分で自分自身を特別視しますが、ヒトもまた一動物種です。霊長類をはじめとした他の動物との比較によって、生物としてのヒトについて考えます。

第2回 霊長類の特徴と分類
種の概念や上位分類群名など生物分類を理解する上での最低限の知識を把握し、実際に現生霊長類がどのような特徴に基づいてどのように分類されているのかについて学びます。

第3回 日本霊長類学の研究史
野生霊長類の研究は、古くから日本人研究者(とくに京都大学の研究者)が先導してきた分野です。ここでは、日本での霊長類研究史を概観し、それが現在の研究動向にどう関わっているのかを考えます。

第4回 野生霊長類の調査方法
フィールドでの霊長類調査はどういった形でなされているのでしょうか。ここでは霊長類学の調査方法についての概要を理解し、研究における方法論の重要性について考えます。

第5回 生態
すべての生物は、必ず他の生物と関わり合って暮らしています。野生の霊長類が何を食べているか、捕食者に襲われることはあるのかなどを学びつつ、それらがヒトの場合どうなっているのかを考えます。

第6回 社会
霊長類の多くは社会的な生活を送ります。霊長類の社会構造・社会関係・インタラクションに関する知見を概観しつつ、ヒトの社会がどのように成立したかについて考えます。

第7回 生涯
発達・繁殖・出産・老化など、個体の一生の間に生じるイベントなどを学び、霊長類の中でのヒトの生涯の特徴について考えます。

第8回 歴史
人間の社会に歴史があるのは当然ですが、ヒト以外の霊長類の社会はどうでしょうか。ここでは集団の盛衰・デモグラフィーの変化など、個体を超えるレベルでの時間変化を検討し歴史性について考えます。

第9回 悪
殺人や戦争など、人間社会では「悪」が尽きることはありません。霊長類社会での殺し・暴力・ハラスメントについて検討し、人間社会で「悪」と考えられる現象の起源について考えます。

第10回 平等性
全ての人間は平等であると言われます。ここでは、霊長類の順位関係・順位序列や食物分配、公平さ、遊びなどに関する知見を概観しつつ、平等性について考えます。

第11回 知性
知性はヒトを特徴付ける特徴であり、また霊長類を特徴付ける特徴の一つだと考えられています。道具使用・社会的知性・欺瞞などの例から、霊長類における知性の進化について考えます。

第12回 文化
人間の行動はしばしば生物学的にではなく文化的に決定されると言われます。ここでは、霊長類における文化的な行動の違いや社会的学習などについて学び、文化の起源について考えます。

第13回 言語
分節化された音声言語を持つことはヒト独特の特徴です。霊長類の音声コミュニケーションや身振りの研究、さまざまな言語進化仮説等について学び、ヒトの言語の起源について考えます。

第14回 霊長類の危機と保全
多くの霊長類の絶滅が危惧されており、霊長類を知ることと霊長類を保全することはもはや完全に切り離すことができません。絶滅を防ぐために身近なところで私たちができることなどについて考えます。

第15回 試験
第16回 フィードバック

教科書

使用しない

参考書

中村美知夫『「サル学」の系譜』(中公叢書) ISBN:978-4120047565 (2015年,1,900 円+税)
西田利貞『人間性はどこから来たか』(京都大学学術出版会) ISBN:4-87698-079-9 (1999年(2007年),2,800円(学術選書版1,800円))
山極寿一『人類進化論-霊長類学からの展開』(裳華房) ISBN:ISBN978-4-7853-5217-2 (2008年,1,900円)
西田利貞・上原重男編『霊長類学を学ぶ人のために』(世界思想社) ISBN:4-7907-0743-1 (1999年,2,400円)
中村美知夫『チンパンジー』(中公新書) (2009年、724円(現在電子書籍で入手可))
上記以外は、必要に応じて授業中に紹介します。
(関連URL)
http://jinrui.zool.kyoto-u.ac.jp/nakamura/

出願開始

出願終了

承認結果公開日

2024-04-12 05:00:00