テーマ

B.歴史を学ぶ

制度種別

単位互換/京カレッジ

受講形態(京カレッジ)

科目等履修生・聴講生

科目コード

B312

科目名

西洋法史

開講大学名

立命館大学

学内科目コード

15359

学内科目名

西洋法史

連絡先

衣笠学びステーション
TEL:075-465-7865

担当教員

高橋 直人

開講期間

2024年9月26日(木)〜2025年1月20日(月)
・3講時 13:00~14:30(毎週木曜日)
・4講時 14:40~16:10(毎週木曜日)
※この科目は週2回開講科目です。

開講曜日・講時

木・3、木・4

単位数

4

開講期

後期・秋学期

授業形態

対面授業(オンキャンパス)

遠隔授業として実施する

実施しない

「英語で学ぶ科目」として実施する

実施しない

受講料
(単位互換履修生は不要)

京カレッジ生の方のみ、以下の受講料が必要です。・科目等履修生:90,000円 ・聴講生:53,200円

対象年次

2回生以上

授業定員

単位互換定員

10

京カレッジ定員

10

会場

衣笠キャンパス

試験・評価方法

【定期試験(筆記)】60%
評価基準としては、(1) 授業で学んだ知識を活用し、的確に解答できているか、(2) その解答を通じて、前出の「到達目標」を達成していることが示されているか、という点を重視します。

【平常点評価】40%
授業の内容に関し、計8回、コメントペーパーを提出してもらいます。成績評価においてコメントペーパーの評価が占める割合は、1回につき5%、合計で40%とします。
評価基準は上記の定期試験の場合と同様です。

超過時の選考方法

書類選考

別途負担費用

なし

その他特記事項

※ 教室は「立命館大学 オンラインシラバス」で確認してください。
https://www.ritsumei.ac.jp/pathways-future/syllabus/

※ 補講日や祝日授業日など学年暦は、「立命館大学 学年暦」を確認してください。
http://www.ritsumei.ac.jp/profile/info/calendar/

※ シラバスの内容は本掲載内容から変更になることがありますので、最新の立命館大学オンラインシラバスを確認してください。

※ その他の情報は「大学コンソーシアム京都 立命館大学の開講科目を受講する皆様へ」で確認してください。
https://www.ritsumei.ac.jp/pathways-future/consortium_renraku.html/

【諸手続】(単位互換生のみ)
受講が許可された場合は上記「大学コンソーシアム京都 立命館大学の開講科目を受講する皆様へ」で手続の案内をしますので、必ず期間内に手続を行い、特別聴講生証を受け取ってください。期間内に指定の手続のない方は、試験の受験や通常授業の受講ができませんので注意してください。

低回生受講推奨科目

講義概要・到達目標

【授業の概要と方法】
 この講義は対面で行い、主にドイツを実例として、近世(授業全体のうち前半)および近代(同後半)の西洋の法と法学について学びます。
 前半では、近代法の形成を動態的かつ連続的な視点から把握していくために、近世に遡って考察を行います。具体的な内容としては、①神聖ローマ帝国の国制、②近世の法学とその担い手、 ③近世の裁判と社会-魔女裁判からみえてくるもの、④啓蒙の光と影-18世紀の法改革とその多面性、という4つのテーマを取り上げます。 ※なお、古代や中世の法について、それ自体としては本講義のテーマに含めていませんが、上記の①~④を学ぶうえで必要な範囲において個別に取り上げます。
 後半では、⑤公法(ドイツ帝国の成立および前史-特に憲法史との関連から)、⑥私法(歴史法学派と19世紀の私法)、⑦刑事法(ドイツ近代刑事法史)、という3つの分野における近代ドイツの法(学)の展開について取り上げます。また近代のドイツやフランスの法と日本法との比較を通じ、日本の法文化の特色についても考えてみたいと思います。
 毎回パワーポイントを使用し、チャートや写真を取り入れたヴィジュアルな授業を行います。
 以上のようなテーマで学ぶことを通じ、単に近代法の基本的な考え方だけでなく、その前提にある人間観や国家観、社会観についても理解を深めることが本講義の重要な課題です。例えば、個人を自由な意思主体であるとする人間観が自覚的に法理論の基礎に組み込まれるに至ったことについては、啓蒙思想の影響を考えることなしには正確な理解ができません。人間の自由と平等が尊重され、国民に開かれた政治が実現されるためには、大前提として、近代以前の国家が依拠していた身分制を解体することが不可欠でした。経済的な観点からいえば、国家の介入から独立した私法秩序や資本主義的な「市場」というものは、上記の身分制の解体と同時に、封建制の否定や中間団体(例:同職組合)の特権の廃止があってこそ、初めて成り立つものです。このように、前提となる人間・国家・社会のあり方との関わりを含めて理解してこそ、近代法の基礎となる考え方を皆さん自身のものとすることができます。それは同時に、社会や政治との関わりをふまえて法を見る目を養うことにもつながるのです。
 その上で、過去の法の現実を生き生きと描き出すためには、政治・経済と法との影響関係といったマクロな次元のみならず、たとえば法曹をはじめとする法の担い手の活動や大学における法学教育の状況、法学の「学問」としてのあり方、法の改革と同時代のメディアやコミュニケーションのあり方との関わりなど、過去の法を取り巻く具体的な諸環境に踏み込んだ法社会史的な切り口からの考察も欠かせません。それによって、近世・近代ドイツの法の世界を分かりやすくイメージできるよう講義内容を工夫しています。
 なお、定期試験に対するフィードバックについては講評を行い、日常的な課題(コメントペーパー)に対するフィードバックに関しては、授業中に口頭による講評を実施します。また、受講生から寄せられた個々のコメントの紹介や解説等も、関連する内容が授業で扱われる際に適宜に行われることがあります。授業内容に関する質問に対しては口頭またはメールで随時受け付け、回答します。

【受講生の到達目標】
1 主にドイツ法史を素材として、西洋の近代法(学)の基本的な特徴を、その基礎にある人間観・国家観・社会観を含めて歴史的視点から理解することができる。
2 近世からの歴史の流れもふまえた動態的かつ連続的なかたちで、近代法(学)の形成過程を理解することができる。
3 上記1・2の獲得過程を通じ、併せて、社会や政治との関わりを意識して法を考察する姿勢を身に付ける。

【事前に履修しておくことが望まれる科目 】
 日本法史も平行して履修、あるいは履修済みであることが望ましいです。日本と西洋の比較により、両者に関する理解や関心がいっそう深まると思われます。特に「近代日本における西洋法(学)の継受」の部分を学ぶ際には、日本法史の知識が重要です。
 また、法哲学や法社会学などの他の基礎法科目、さらには憲法・民法・刑法に関する実定法の基本的な科目は履修しておく方が、幅広い視野をもって授業に臨むことができます(もっとも、この点は西洋法史の場合に限ったことではありませんが)。

【授業外学習の指示】
 授業外学習として皆さんに最も期待することは、毎回の授業内容に関する予習・復習です。西洋法史のように「史」のつく科目というのは、しばしば誤解されているような単なる「暗記科目」ではないにせよ、それでも他の分野以上に知識の「積み上げ」が大事な科目ではあります。途中で授業内容が分からなくなれば、そこから先の話の流れも分からなくなってしまいます。授業中にポイントとされたことを復習するとともに、次回の授業のポイントとなること(レジュメを事前配布します。あらかじめ目を通しておきましょう)について予習をして授業に臨むということ――古典的なようですが、まずもってこれが大切なのです。

【受講および研究に関するアドバイス】
 西洋法史というのは、いわゆる「基本書」にあたるような簡明で網羅的な日本語文献が必ずしも揃っていない分野であるため、皆さんにとって自習が比較的難しい科目です。毎回の授業に確実に出席し、集中して講義を聞いていなければ、「到達目標」に達することは困難だと思われます。
 法の歴史そのものについては、初心者にも分かりやすく基礎から説明します。ただし、法の歴史を理解するために必要な大学受験レベルの基本的な知識(世界史・日本史、政治、哲学・思想、地理)および1回生終了程度の法学一般の基礎知識に関しては、それらを受講者がすでに有しているという前提で講義を行います。不安な場合、各自で十分な予習を行うこと。特に近世・近代のドイツやフランスの歴史については、些末な暗記は必要ありませんから、基本的な出来事や人物、大きな流れ程度はきちんと把握して授業に臨むようにしてください。「世界史が分からない」または「受験時に世界史を選択していなかった」等々のことは、西洋法史が分からないという理由にはなりません。

【授業内外における学生・教員間のコミュニケーションの方法】
manaba+R 、学生との直接対話、その他(教員より別途指示)

講義スケジュール

第01回
西洋法史の世界へようこそ―授業のポイントおよび導入講義
<キーワード>神聖ローマ帝国の多様性、ドイツと連邦制、帝国とラント、ドイツの近代化のプロセスと統一のプロセス
※第1回目のみ、対面に加えてライブ配信を併用。

第02回
神聖ローマ帝国の国制①
<キーワード>帝国の二元的構造、皇帝、帝国等族、領邦等族

第03回
神聖ローマ帝国の国制②
<キーワード>帝国議会、帝国最高法院、選定候、帝国宮廷顧問会議

第04回
神聖ローマ帝国の国制③ + ローマ法の継受とその後の展開
<キーワード>普通法と地方法、帝国の立法、ローマ法の継受、学識法曹、人文主義法学、パンデクテンの現代的慣用

第05回
近世の法学とその担い手①
<キーワード>ボローニャ大学の誕生と法解釈学の登場(※中世)、中世の大学とその組織、近世の大学とその組織

第06回
近世の法学とその担い手②
<キーワード>近世の法学部のカリキュラムと授業形態、近世の大学における学生生活、18 世紀に求められた法律家像

第07回
近世の法学とその担い手③
<キーワード>普通法学、普通刑事法学と啓蒙、刑事法学の「補助学」、刑法家たちの意識、刑事法改革と「世論」

第08回
近世の裁判と社会―魔女裁判からみえてくるもの①
<キーワード>近世における魔女のイメージ、魔女処罰の規定、カロリーナ刑事法典

第09回
近世の裁判と社会―魔女裁判からみえてくるもの②
<キーワード>糾問(糺問)手続の仕組み、魔女裁判にみられる不当な手続、裁判当局の姿勢

第10回
近世の裁判と社会―魔女裁判からみえてくるもの③
<キーワード>帝国やラントの権力構造の魔女迫害への影響、知識人の関与、民衆の意識と「下からの魔女狩り」

第11回
「18世紀=啓蒙の時代」とはいかなる時代か―啓蒙期の改革を理解するために―
<キーワード>「啓蒙」とは何か、身分制的な社会構造の変容、啓蒙と絶対主義、教養市民層、メディアやコミュニケーションの変化

第12回
啓蒙の光と影―啓蒙期の法改革とその多面性①
<キーワード>啓蒙絶対主義、「神の法から国家の法へ」、社団国家と中間権力(中間団体)、近世自然法論、自然法的法典編纂

第13回
啓蒙の光と影―啓蒙期の法改革とその多面性②
<キーワード>啓蒙期の法典編纂過程の特徴(承前)、啓蒙の人間観と近代法の発展への影響、帰責論

第14回
啓蒙の光と影―啓蒙期の法改革とその多面性③
<キーワード>「世俗化・合理化・人道化」、犯罪と刑罰との均衡、拷問の廃止、バイエルンの「魔女戦争」、ベッカリーア、『犯罪と刑罰』

第15回
啓蒙の光と影―啓蒙期の法改革とその多面性④
<キーワード>「上からの改革」の限界、等族的国制による限界、フランス革命、男性有産市民の権利、ナシオン主権とプープル主権、近代的
な私法秩序の端緒と資本主義的「市場」の創出

第16回
ドイツ帝国の成立および前史―特に憲法史との関連から①
※この回以降、講義の「後半」
<キーワード>神聖ローマ帝国の崩壊、ウィーン体制とドイツ同盟(連邦)の成立、ナポレオン時代のドイツ諸邦国の改革、ベルリン大学とフンボルト理念、ドイツ同盟規約、同盟規約と「ラントシュテンデ制」

第17回
ドイツ帝国の成立および前史―特に憲法史との関連から②
<キーワード>メッテルニヒの反動的政策、1848 年の革命、大ドイツ主義と小ドイツ主義、フランクフルト国民議会、フランクフルト憲法

第18回
ドイツ帝国の成立および前史―特に憲法史との関連から③
<キーワード>プロイセン憲法、三級選挙法の仕組み、プロイセン主導のドイツ統一、帝国憲法(ビスマルク憲法)

第19回
歴史法学派と19 世紀の私法①
<キーワード>19 世紀前半のドイツ私法の状況、法典論争、サヴィニーの立場、ティボーの立場

第20回
歴史法学派と19 世紀の私法②
<キーワード>サヴィニーとティボーの対立の構図、同時代の思想状況、歴史法学、ロマニステンとゲルマニステン

第21回
歴史法学派と19 世紀の私法③
<キーワード>19 世紀ドイツの学界状況、パンデクテン法学、ドイツ民法典の編纂過程、民法典の特徴

第22回
ドイツ近代刑事法史①
<キーワード>19 世紀の刑事立法史の概観、19世紀初頭の刑事法の法源、いわゆる「裁判官の恣意」の実態

第23回
ドイツ近代刑事法史②
<キーワード>フォイエルバッハの刑法理論の特徴、心理強制説、カントとヘーゲルの刑法思想、自由意思論をめぐる争い

第24回
ドイツ近代刑事法史③
<キーワード>意思の自由、裁判官の恣意、そして国家権力 / 糾問手続の問題点と新たな改革の主張/ 刑事弁護の面からみた糾問手続の欠陥 / 国民の司法参加の要求

第25回
ドイツ近代刑事法史④
<キーワード>19 世紀後半のドイツにおける刑事立法 / プロイセン刑法典(1851 年)/ 帝国刑法典(1871 年) / 責任能力および「自由」に対する考え方の変化 / 学問(Wissenschaft)としての刑事法学の誕生

第26回
近代法史の部分についての講義の全体像とポイントの再整理(※必要に応じて補足も含む)
<キーワード>※ 第1回~第25 回までのキーワードを参照せよ〔復習〕

第27回
近代日本における西洋法(学)の継受①―継受の担い手と「独逸法学博士」前編
<キーワード>「独逸法学博士」、日独間の法学交流、明治期の法律家の留学、「私学出身の実務家」、近代の日本およびドイツの学位制度、近代ドイツの法学部における学位審査手続

第28回
近代日本における西洋法(学)の継受②―継受の担い手と「独逸法学博士」後編
<キーワード>「独逸法学博士」、日独間の法学交流、明治期の法律家の留学、「私学出身の実務家」、近代の日本およびドイツの学位制度、近代ドイツの法学部における学位審査手続

第29回
近代日本における西洋法(学)の継受③―刑法分野
<キーワード>近代日本刑法史の3つの段階、旧刑法成立以前の状況、旧刑法の特徴、不平等条約改正との関連、ボワソナードの「折衷主義」、現行刑法成立の背景、現行刑法の特徴、旧刑法との対比

第30回
補説:近代日本における西洋法(学)の継受④―憲法分野
<キーワード>明治憲法(大日本帝国憲法)、プロイセン憲法との比較、明治憲法下の状況の問題点、天皇機関説事件


【授業実施形態】
第1回を対面受講型授業とライブ配信型授業の併用で実施し、第2~30 回を対面受講型授業にて実施する。なお、第1回のライブ配信の接続先等に関しては、manaba+R にて事前に周知する。

教科書

使用しません。各回のレジュメ(PDF形式のファイル)をmanaba+Rにて事前配布します。

参考書

特に指定はしません。なお、1冊例示するとすれば、勝田有恒・森征一・山内進編著『概説 西洋法制史』(ミネルヴァ書房、2004年)が良いです。

出願開始

出願終了

承認結果公開日

2024-04-12 05:00:00