テーマ
制度種別
受講形態(京カレッジ)
科目コード
科目名
京都の歴史のなかの女性と政治・文化―多様な資料と手法によるアプローチ―
開講大学名
学内科目コード
学内科目名
京都の歴史のなかの女性と政治・文化―多様な資料と手法によるアプローチ―
連絡先
社会連携センター
TEL:075-705-2952
E-mail:shakai-renkei@star.kyoto-su.ac.jp
担当教員
京都産業大学 文化学部教員3名
京都産業大学 日本文化研究所
上席特別客員研究員8名
開講期間
2023年05月06日(土)~2023年05月27日(土)
1~2講時 09時30分~12時30分(毎週土曜日)
開講曜日・講時
単位数
開講期
授業形態
遠隔授業として実施する
「英語で学ぶ科目」として実施する
受講料
(単位互換履修生は不要)
対象年次
授業定員
単位互換定員
京カレッジ定員
会場
試験・評価方法
超過時の選考方法
別途負担費用
その他特記事項
低回生受講推奨科目
講義概要・到達目標
2023年度の講座として、京都産業大学文化学部の教員と、本学の日本文化研究所の上席特別客員研究員(京都・観光文化検定試験1級に合格し、同研究所で研鑽を積み、現在も積極的に活動している方々)による、講義とフィールドワークを企画した。
今回のテーマは「京都の歴史のなかの女性と政治・文化」である。歴史のなかで、男性に比べその活躍が見えにくい女性に焦点をあて、京都の歴史を描くことにした。具体的には、時代としては古代から近現代まで、身分としては天皇・貴族、天下人の妻から文化人・庶民まで、あまり知られていない女性の活動や、それなりに知られている女性の知られざる一面などについて、史料(古文書・古記録)、文学作品・絵画資料、新聞・映像資料、聞き取り・フィールドワークなど、各担当者が得意とする素材や方法を用い、その姿を追究し、特色を明らかにしたい。なお、最初に「人物研究の動向と方法」を具体的・実践的に講義する。
受講者には、この講座を通して、京都研究のおもしろさ・奥の深さを感じていただき、さらに自ら調べるための視点・方法などをつかんでもらいたい。
講義スケジュール
5月6日(土)
≪1コマ目≫ 9:30~11:00
■若松 正志(京都産業大学 文化学部 教授)
「総論:京都の歴史のなかの女性と政治・文化―人物研究事始―」(45分講義)
この講座のねらい・概要を述べるとともに、総論として、人物研究の動向と方法、京都の歴史のなかの女性、特に江戸時代の女性天皇である後桜町天皇について述べる。
■野口 典子(京都産業大学 日本文化研究所 上席特別客員研究員)
「祇園のお梶―祇園三才女―」(45分講義)
時代祭の江戸時代婦人列にも姿を見せる祇園のお梶。梶・百合・町(玉瀾。池大雅の妻)の三代は、茶店を営みつつ、和歌や絵画において名を馳せたことで知られる。彼女たちは「祇園林」という土地柄が育てた存在であり、また江戸中期の穏やかで大らかな都を体現している存在と言えるかもしれない。今回は、三才女の内、特に、実説のほとんど伝わらないお梶について、虚構を含め近世近代の資料を一覧してみたいと思う。
≪2コマ目≫ 11:00~12:30
■山本 茂博(京都産業大学 日本文化研究所 上席特別客員研究員)
「モルガンお雪の生涯」(45分講義)
明治時代、祇園の人気芸妓「雪香=お雪」は、米国の大富豪モルガンに見初められて結婚。ところが渡米すると排日運動に遭い、パリへ移住するも夫は急死。莫大な資産を相続したが、世情不安から第二次世界大戦前に日本に帰国。しかし、スパイ容疑から資産は差し押さえに。戦後、名誉を回復し、キリスト教に帰依。資産を教会に寄付して静かに天寿を全うした。劇化された彼女の人生の虚実を見極め、当時の日本の世相、日本に対する欧米社会の反応を詳らかにしたい。
■久宗 圭一(京都産業大学 日本文化研究所 上席特別客員研究員)
「おそめ-戦後日本社会の変容を体現した元祇園芸妓-」(45分講義)
昭和30年代に川端康成、白洲次郎、小津安二郎、大野伴睦など文化人・政界・実業界の一流の名士達が集うバー「おそめ」が銀座と京都にあり、隆盛を極めた。店名でもある元祇園芸妓のマダム・おそめ(本名:上羽秀)は、なぜ錚々たる各界重鎮に慕われたのか。高度経済成長期の社会変化の中での一人の京女の生き方を通して、彼女を生み育んだ京都の風土と気質を探る。
5月13日(土)
≪3コマ目≫ 9:30~11:00
■笹部 昌利(京都産業大学 文化学部 准教授)
「若江薫子と中西君尾―「勤王」であるということ―」(90分講義)
伏見宮の殿上人、若江修理大夫量長の娘として生まれた若江薫子。幕末期の芸者、中西君尾。生まれも環境も異なる二人に共通するのは、幕末の政治に向き合い、維新後、「勤王」の名のもとに顕彰されたということであった。二人の履歴に向き合うとともに、幕末期の女性と顕彰の意味について考えたい。
≪4コマ目≫ 11:00~12:30
■伊藤 修(京都産業大学 日本文化研究所 上席特別客員研究員)
「村山たか(かずえ)について」(45分講義)
村山たか(かずえ)は、幕末京都で暗躍した女性諜報員である。はじめ彦根藩主井伊直亮の侍女となり、後に藩主・大老の直弼と長野主膳の知己を得て同志となる。開国派と攘夷派の対立、後継将軍をめぐる水戸派(慶喜)と南紀派(家茂)で対立した直弼は、安政の大獄を実施、やがて桜田門外の変となる。この事件の裏には、村山たかの朝廷での反幕府派情報の収集と親幕府への懐柔工作が長野主膳と協調して行われた。村山たかは才色兼備の女性。稀有な運命を担い激動の時代を生きた魅力的な人物像を伝えたい。
■深澤 光佐子(京都産業大学 日本文化研究所 上席特別客員研究員)
「村雲日栄―近代女性皇族の政治・社会活動―」(45分講義)
瑞龍寺の門跡だった村雲日栄は、明治新政府の宗教政策転換の際、一石を投じた人物である。僧侶となっていた皇族を還俗させるという国の方針を断固拒否し、皇室の仏教信仰の存続を後押ししたこと、京都においては、日本赤十字社の京都支部篤志看護婦支会長を務め、護国婦人会(村雲婦人会)を立ち上げ女性の地位向上に力を注いだことなどの実績を紹介したい。あわせて瑞龍寺をはじめ尼門跡寺院の紹介もしていきたい。
5月20日(土)
≪5コマ目≫ 9:30~11:00
■吉野 秋二(京都産業大学 文化学部 教授)
「橘嘉智子と承和の変」(90分講義)
「承和の変」と橘嘉智子の関係を中心に、平安時代前期の皇位継承史の特質を読み解く。
≪6コマ目≫ 11:00~12:30
■横井 剛(京都産業大学 日本文化研究所 上席特別客員研究員)
「藤原道長と源明子の夫婦関係からみる平安時代の婚姻とその子弟」(45分講義)
高松殿、近衛御門と呼ばれた源明子(藤原道長の妻)に焦点を当て、夫婦関係からみた平安時代における婚姻制度(一夫多妻制の疑問)について考える。また、冷泉家の祖・長家(道長と明子の子)、白河天皇中宮・賢子の祖母・尊子(同)等の子弟から、皇室・摂関家に続く明子の女系血筋について明らかにする。
■森島 克一(京都産業大学 日本文化研究所 上席特別客員研究員)
「桂女と神功皇后伝説」(45分講義)
近世の京都周辺では、桂女が神功皇后伝説に由来する安産や疱瘡除けの利益をうたい、守り札を売り広めていた。桂女に関しては、柳田国男や網野善彦などの研究を基礎に、さまざまなアプローチがなされている。講義では、これら先行研究および桂女家にのこる諸文書に加え、諸社寺と安産利益等の動向を踏まえ、神功皇后への安産信仰において桂女が果たした役割、さらに功罪を含めたその影響力を明らかにしたい。
5月27日(土)
≪7・8コマ目≫ 9:30~12:30
■中江 好喜(京都産業大学 日本文化研究所 上席特別客員研究員)
「最後の女帝、天下人の妻の面影を訪ねる-青蓮院・高台寺-」(180分フィールドワーク)
最後の女帝=後桜町天皇ゆかりの門跡寺院青蓮院、天下人豊臣秀吉の正室ねね(おね。高台院)ゆかりの高台寺を、詳しい解説付きで案内する。
教科書
参考書
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